怪文物語「桃太郎」第1話「桃太郎爆誕」
遠い遠い宇宙の彼方の「ムカシムカシアルトコロニ」という世界があった。
そこでは「聖なる大樹ユグドラシル」が人の子を宿した実を産み落としていた。
そこから産まれた人を「ユグドラシルの民」と呼ばれ、大事にされた。
そして、とある場所に住んでいるおじいさんとおばあさんのうち、おばあさんが川へ洗濯していると、大きな桃の実が流れてきた。
おばあさん「これはユグドラシルの果実!」
おばあさんは桃を持って帰りました。
おばあさん「おじいさん!ユグドラシルの実だよ!しかも桃だ!」
おじいさん「桃じゃと!?馬鹿な、伝説は本当だったのか!」
そうすると、桃がクパァと開いて赤ちゃんが現れました。
おばあさん「ユグドラシルの民じゃ…!ありがたや…ありがたや...!」
おじいさん「よし、決めた!今日から桃太郎じゃ!桃から生まれたのと、伝説の英雄「タロウ」の名を合わせて桃太郎じゃ!」
こうして、桃太郎が爆誕しました。
実は、桃太郎爆誕と共にユグドラシルは次々とユグドラシルの果実を実らせ、川へ流し、人々の元へ送り届けていました。時にはユグドラシルの使い手達を遣わせ人々の元へ届けたりもしました。
ユグドラシルの民が多く生まれたこの年。世界は少しずつ異変が起きていくのでした。
桃太郎は、それからすくすくと育っていきました。とてもとても可愛い美人の姿へと育っていきます。しかし、桃太郎は男の子です。
そう、この世界の桃太郎は、男の娘だったのです。おじいさんとおばあさんは全然気にしませんでした。
そして、近くの村では噂が流れていました。
「色々な村を襲っては食料や金銀財宝を奪う鬼達が暴れている」と。
桃太郎はおじいさんとおばあさんへこう言います。
桃太郎「ぼく、鬼退治に行きたいです!悪いことしている鬼をほっておくわけにはいきません!」
おじいさん「流石はユグドラシルの民の子じゃ...まるで伝説の戦士タロウのようじゃ」
おばあさん「なら、きびだんごを作っていきましょう。きびだんごがあれば、桃太郎の力になるでしょう」
おじいさんとおばあさんは、きびだんごを作りました。
おばあさん「道中、仲間になりたそうな者が現れたらきびだんごを食べさせなさい。きっと力を与えてくれるでしょう」
おじいさん「桃太郎、これを」
きびだんごと共に、剣を与えました。
おじいさん「代々伝わる「極剣」と言われるものじゃ。ワシには使いこなせんかったが、桃太郎、お前なら大丈夫じゃろう」
桃太郎「おじいさん、おばあさん、ありがとう!行ってきます!」
こうして、桃太郎の旅は始まりました。次回へ続く